店の前に来た。その店はインド料理を出すレストランらしいが、店構えはまるでアメリカ映画に出てくるドライブインのようなお店だった。
「ここの外観変わってるだろ?」彼が言う。
「はい」
「この辺りにはないような雰囲気だよね。だから来てみたかったんだよ」彼が店の中へと足を進める。私もそれに着いていく。
店内もまたアメリカ映画に出てくるドライブインのような内装だった。
彼はそんな店内をぐるぐると見渡しながら「へーすごいなぁ」と感嘆の声をあげてなおも店内を進んでいく。私もそれに着いていく。そこで彼が立ち止まり、スマホで写真をいくつか撮っていた。
すると、店内に入ってからテーブルを五つ過ぎたところで、「こっち、こっち」と声がしてそっちの方を見ると、そこには川上がいてこっちに手を振っていた。そんな川上の前に髪の長い女性の後ろ姿が見えた。
「おう、悪い、悪い」彼と私がそのテーブルの前に着くと、女性がこっちを見た。そして微笑む。その女性は長い髪を巻毛にして、大きな目をくりくりさせ、唇がピンク色にてかっていた。私よりいくつか若そうだった。
「ごめんな、待たせて」彼が言う。
「もう遅いぃー」彼女が言った。
「じゃ、座って」彼が私に向かって手を伸ばした方が、川上の隣だった。
「はい」川上の隣に座る。
女性の隣に彼が座ってから「何か頼んだ?」と彼女に聞いていた。
「ビールとぉ、それからタンドールチキンとか適当に頼んだよ」
「じゃ、俺もビール。君は?」彼が私に聞いてくる。
「あ、私はお酒飲めないので」
「じゃ、ラッシーとかにする? ヨーグルト風味の飲み物」
「はい、じゃ、それにします」
彼が店員を呼んだ。そこにやってきたのは二十八歳ぐらいの男性だった。
「君、ここのオーナーじゃないよね?」
「はい、違います」
「今日はオーナーいないの?」
「ええ、いません」
「なんでさ、こんなアメリカンチックなお店にしたのか、きみ知ってる?」
「青春時代にアメリカで過ごした時に近くにこんなお店があったらしいです」
「で、なんでインド料理?」
「インド料理が好きみたいです」
「そっか」彼が笑った。「で、なんで照明はアジアン?」
「この照明が好きだからって。アジアとアメリカの融合だって」
「そっか、面白いね、ここのオーナー」
「はい、ぶっ飛んでます」
そこでみんなが笑ったので、私も笑った。
そしてビールとラッシーを彼が頼んだ。
「やっぱ、いいよな、ここ」川上が言った。
「うん、ここだけ雰囲気が違って面白いよね」樹がそう言ってから天井を見上げた。「照明も凝ってる。ほら見てみな」
彼が言うので、二人が天井を見上げた。私も見上げた。そこにはランタンのようなものがテーブルごとに吊り下げられていた。そのどれもがそれぞれ色も形も違っている。