春翔〜HALCAL〜

春を翔るように、徒然なるままに表現します。

2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧

フロム•ゼロ 25

そうなんですね」私は納得したかのような顔になった。 「なぜに?」 「斎藤さんを弄ばないでって言いに行きました」 「へえ……」 「なんですか?」 「いや、意外だなって思っただけです。そんな風にもう悟りの境地みたいな思いでいる人が」 「二度目なんです…

フロム•ゼロ 24

普通って何よ、普通って、なんかあるでしょ? こうちょっと陰気臭かったとか、可愛くなかったとかさ」 私は首を傾げた「特に、何も」 「なんかあるでしょ、あんたって相変わらずつまんないよね」 「で、二回目は?」村上が聞いてきた、 「二回目は二人でした…

フロム•ゼロ 22

あんた、そろそろ帰った方がいいんじゃない?」貴子に言われ、「じゃ、樹さん呼んできますね」と立ち上がると、「凪の部屋に勝手に入らないで!」と貴子が怒鳴った。 私はその勢いに押されて座り直すと、「先に帰ってれば? いつまでもあんたにココにいられ…

フロム•ゼロ23

窓側には横にテーブルがいくつかあって、その一番端の一つ目のテーブルの椅子に女性は座っていた。 私の心臓がそこで大きく動いた。まさか、と思った。 私はその女性の後ろ姿をじっと見ていた。その女性の元に誰かがやってくる。その女性が立ち上がる。女性…

フロム•ゼロ 21

それから私達は目の前のご馳走に箸をつけた。凪がすぐに小皿にそれぞれ取り分けたものを樹に手渡していく。本当は私がやるべきことを全部凪に持っていかれた。 そんな私は遠慮がちに食べ物を摘みつつ、凪と貴子の顔を盗み見ていた。 二人とも嬉しそうな顔で…

フロム•ゼロ 20

そんなある日、貴子から電話があった。貴子から着信があるなんて今までなかったから驚いた。電話に出ると、 「日曜日、花火大会だからいらっしゃい。樹さんと」貴子が言う。 「え……」 「来るの? 来ないの?!」 言われた私は「行きます」と告げた。 「じゃ…

フロム•ゼロ 19

それからの私は普通に旅行にも置いていかれるようになった。置いていっても平気そうにしていた私の顔を見てタガが外れたのだろう。留守番がいないと心細いと言われて置いていかれた。絶対に外に出るなと念を押された。誰が来ても家にあげるなと鬼のような顔…

フロム•ゼロ 18

コール音が鳴る。受話器の向こうで、何度も、何度も。でも誰も出なかった。私はそのコール音を何度聴いただろう。次に出るかもしれない。今頃階段を降りている最中かもしれない。次は出るかもしれない。そんな思いで、私はコール音を聴き続けていた。何回鳴…

フロム•ゼロ 17

私は小さい頃から家族の邪魔者だった。外見も中身もパッとしない私は、妹という存在が生まれてからはっきりと邪魔者という存在になったのだ。妹はスタイルも良く顔も綺麗だった。それに加えて運動神経も良く、どことなく華やかなオーラを持ち合わせていた。…

フロム•ゼロ 16

しばらくしたらすぐにお鮨が届いたので、私たちは早い夕食を開始した。貴子が私の目の前に並のお鮨を置いて「あなたはトロとか嫌いだもんね」と言う。 私はそれに小さく頷いた。それを聞いた樹が「そうなの? 嫌いなものないって思ってた。聞いといてよかっ…

フロム•ゼロ 15

こんにちは。お忙しいのにすみません」彼が答える。 「どうぞ、お座りになって」貴子が自分の真向かいの椅子に手を伸ばした。それに答えるように彼が貴子の前に座った。その横に私も座った。凪が遅れて貴子の隣に座った。目の前のテーブルの上には何もない。…

フロム•ゼロ 14

それから一週間、時は慌ただしく過ぎていった。樹が早く引っ越して来なよと言うので、迷いに迷ったが、彼の好意に甘えることにしたのだ。会社ではこのことはまだ内緒で、川上にもまだ言っていないと彼は言っていた。 それはいいのだが、彼が言った一言が私の…

フロム•ゼロ 13

「え……」 「ほら、普通さ、美術館行かない? って誘われるとさ、あんま知らなくても興味なくてもそれを正直に言わないもんなんだよ。普通はね。だってほら美術とか興味があったりする方がなんていうか位の高い生活してますって顔できるというかなんというか…

フロム•ゼロ 12

翌日、デスクの前で伝票を作っていると誰かが事務所に入ってきた。事務員全員が一斉に顔を上げる。 そこには樹が立っていた。樹が来るとは誰も聞いていなかった。その顔を見た瞬間、松田が立ち上がって、樹の前に行った。 「いらっしゃいませ」 「あぁ、こん…

フロム•ゼロ 11

『いえ、全然です。嬉しかったです。美味しかったですし」 「そう、よかった」 「はい。ありがとうございました」 言い終わる前にすでにいずみと川上は私に背を向けて歩き出していた。 「じゃね」樹が背を向ける。私はそれをほんの数秒見送ってから、一回転…

フロム•ゼロ 10

そんな私を見た樹が、 「い、いいじゃんか、お腹空いてるんだよ。ねぇ、こんな時間まで残業しててさ」と言った。 いずみが私をじっと見たまま、足を組み直した。 「だってぇ、もうないじゃん」 一斉にみんなが見る。タンドリーチキンが載っていたお皿の中は…

フロム•ゼロ 9

へー」川上が言った。 「ほんとだ。可愛いー、いずみもこういうの好きかも」女性が言った。 「樹、照明デザイナーなんだよ」川上が私に言った。 「そうなんですね」 「そ、だからこの店の評判聞いてどうしても来たいって」 「うん、やっぱ来てよかった。こう…

フロム•ゼロ 8

店の前に来た。その店はインド料理を出すレストランらしいが、店構えはまるでアメリカ映画に出てくるドライブインのようなお店だった。 「ここの外観変わってるだろ?」彼が言う。 「はい」 「この辺りにはないような雰囲気だよね。だから来てみたかったんだ…

フロム•ゼロ 7

どうせ来ているわけない。そう思いながら倉庫へと向かい、木材を数える。やはり十七しかない。何度数えても十七しかない。違うところに転がっているのかもと思い、倉庫の隅々を探したがない。でも佐藤が十八と言ったら十八なのだ。私はしばらく途方に暮れな…

フロム•ゼロ 6

。 「はい」私は足を動かして応接室を出た。ドアをバタンと閉めて、胸のドキドキを抑える。私があの彼と食事に行く? しかも川上もいるし、もう一人の女性もいるらしい。今までずっと誰かと食事なんてしたことはなかった。私が新人としてこの会社に入った時…

フロム•ゼロ 5

その翌日、二時を少しだけ過ぎた頃、事務所に男の人が入ってきた。 お客様が来るとは聞いていたので、私はすかさず入り口まで行って、男の人を招き入れた。そしてすぐさま応接室へと案内する。色んなお客様が時々ここにやってくるが、この人は初めて見た顔だ…

イタリア シエナandピェンツッア

シエナでは、坂道を活かした街並みに驚きつつ、ネットで調べたレストラン「Osteria Permalico」で念願の“Pici(ピチ)”パスタに出会う。ぷりぷりの麺と濃厚なチーズソースが絶妙で、「やっと本当に美味しいものに出会えた」と感じるほどの味。でもお腹がいっ…

イタリア サン・ジミニャーノ

フィレンツェから南へ、丘の上に佇む中世の街「サン・ジミニャーノ」へ。世界一の称号を得たジェラート店があると聞きつつ、うっかりその手前のお店でジェラートを購入。でも、それも十分に美味しかった。とはいえ本命のジェラートを逃すわけにはいかず、再…

フロム•ゼロ 4

「はい?」と私が彼女の方を見ると、 「外出るんでしょ? ついでにあそこのコンビニに寄ってアイス買ってきてくれない?」と言った。 「え……」私は一瞬迷った。だってついでにと彼女は言うけれど、彼女が言うコンビニはここからかなり離れていて散歩の途中に…

イタリア フィレンツェ

フィレンツェに到着し、憧れのカフェ「Gilli」でケーキとカプチーノを満喫。現地の人との温かな交流に心がほっこり。そして、念願の本場パスタを求めてレストランへ。言葉の壁や注文の難しさも乗り越えて挑戦するが、味は思ったほどではなく少し残念…。でも…

フロム•ゼロ 3

そんなことも知らず私はいつものお弁当を抱えて、最近買ったグレーの自転車を漕ぐ。 風が私の髪を浚って、頬を吹き付ける。時折小さな羽虫が私の目の中に入って痛みで目を擦る。風はこんなに気持ちいいのに、気分は重い。重たい気分と思い足で自転車をひたす…

イタリア 憧れのベネチア😆

ベネチアへは船で移動。現地の人々は寒くても暑くてもテラス席が好きで、店内を選ぶと驚かれる。ゴンドラ周遊では美しい景色とイケメン船頭に感動。ジェラートは外れもあり、見た目に騙されたと悔しさも。ツアーで知り合った若い参加者との交流に癒され、調…

フロム•ゼロ 2

目覚まし時計が鳴る。鳴る前から私の目は覚めていた。もう何年も前から眠れない日々が続いている。だけれど朝は起きて仕事に行かなければならない。仕事をしないで生きていければどんなに楽か。人と関わらないで生きていければどんなに楽か。私に才能があっ…

イタリア ベローナ

ミラノからバスでベローナへ移動。ジュリエット像の左胸に触れると幸せになれるという言い伝えに従い、順番待ちをして参加。街のカフェや風景がどこを見ても絵になる美しさに感動するも、ツアー行動で自由に立ち寄れないことに少しもどかしさを感じる。

イタリア ミラノ編

長旅の末に到着したミラノは雨。ガッレリアで願いが叶うという“牛のアレ”回しにも挑戦。KIKO MILANOのコスメを購入し満足するも、リゾットや夕食のまずさにがっかり。特にホテルのイカ墨パスタとタラ料理は衝撃的な不味さで、写真すら撮る気になれず。唯一、…